激しい雨が降っている時、「飛行機が遅れないかな・・・」と心配になる方は多いと思います。実際のところ、国土交通省が発表している国内エアラインにおける遅延率の上位は、機材繰りの他に天候も含まれています。(下記グラフ参照)

国土交通省HPより

しかしながら、天候が悪い=遅延や欠航という訳ではなく、遅延することなく着陸する場合もあります。そのため、どのような場合に遅延してしまうのか簡単にご紹介します。

  • 霧による視界不良
  • 雷による地上作業者退避
  • 強風による滑走路使用制限

まずは、”霧による視界不良”について説明します。離発着の多い大都市近郊の空港や霧の発生しやすい地形の空港については、精密進入着陸と呼ばれる高度な機器が導入されており、視界が悪い場合であっても出来るだけ着陸できるような体制になっています。しかし、めったに霧が発生しない地方空港では、精密進入着陸に必要な機器が導入されておらず、天候回復まで待って着陸を行うケースがあり、遅延の原因となります。以下のイラストは羽田空港に導入されている精密進入着陸方式の紹介です。

国土交通省HPより

続いて、”雷による地上作業者退避”について説明します。航空機自体は落雷があったとしても飛行に問題が出ないように避雷針などが設置されています。しかし、航空機の周辺で作業する方々は落雷リスクと隣り合わせになってしまうことから、空港周辺にて雷に関する警報が出た場合、いったん作業を中断せざるを得なくなり、荷物の積み込みやプッシュバックの作業ができずに遅延するケースがあります。これは夏場の好天においても空港周辺で積乱雲による落雷があった場合は同様です。一見すると天気が悪いようには見えなくとも、上記の事情で出発が遅延することになってしまいます。

最後に、”強風による滑走路使用制限”について説明します。

飛行機は風に対して弱いというイメージを持っている方も少なくありませんが、実際のところ、春一番のような強風下であっても欠航が発生しないケースもあります。それは、方向の異なる滑走路が設置されているケースです。例えば、羽田空港には滑走路が4本ありますが、そのうち2本ずつが異なる方向を向いています。(厳密にはB滑走路とD滑走路は平行していません)そのため、様々な風向きに対して最適な方向から着陸できるような体制になっています。一方で、成田空港や地方空港においては2本の滑走路や1本の滑走路では横風の風速制限値を超えてしまうと離着陸ができないケースが発生します。

国土交通省HPより

天候に対して弱いと思われがちな飛行機ですが、この記事を通じて少しでも遅延を減らそうと様々な対策が取られていることを知ってもらい、今後は「こんなに天気が悪かったのに無事に遅れがなく着けて良かった!」と思ってもらえると嬉しいです。

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