先日ANAを利用しましたが、往路はA321ceo、復路はA321neoとなりました。羽田空港においてもA321neoをよく見かけますが、A321ceoは少数派です。実際のところ、4機のみの導入です。また、2008年までA321(ceo)を運行していましたが、約10年経ち再び導入することになった理由を考えてみます。

本日のテーマである、”ANAがA321ceoを再導入した理由は?”の問いに対する答えは【200席サイズ(194席)の機体をいち早く導入したかったから】と考えます。

その根拠は以下の2点です。

  • neoシリーズの導入には年月が掛かること
  • B797開発計画を見据えていたこと

まず、”neoシリーズの導入には年月が掛かること”について説明します。

A321neoが人気であることが挙げられます。A321neoの購入層は、従来型であるA321ceoだけではなく初期B737NGシリーズを運行する航空会社、またB757を運行する航空会社も発注しています。そのため、A321neoの受注残が積み上がり、ANAが2014年に発注したA321neoの導入時期は3年後の2017年となります。ANAは老朽化した初期型B767-300型(非ER型)を退役させるために、いち早くA321ceoを入手したかったものと推測します。

筆者撮影@羽田空港(B767-300)

また、A321neoの受注残が積みあがっていた要因として需要の増加だけではなく、供給機数の減少も挙げられます。A321neoシリーズではエアバス・キャビン・フレックス (ACF)と呼ばれるオプションを用意し、非常口ドアの仕様を変更することでceo型よりも多くの座席を配置することが可能となった。一方で、生産現場は仕様が混在する製造ラインに混乱が生じ、初期のA321neoはA321ceoよりも生産機数を落とさざるを得なかった。このような生産遅れは航空会社への納入遅延に直結し、当然、ローンチカスタマーではないANAのA321neoの納入には時間が掛かることが見込まれた。そのため、A321neoよりも早く入手可能なA321ceoを4機のみ選定したと考えます。

次に、”B797開発計画を見据えていたこと”について説明します。

現在2022年時点では、B797(NMA=New Midsize Airplane)の開発進捗はボーイングから何も公表されていません。事実上の開発停止と考えられます。ANAがA321ceoおよびA321neoを発注した2015年前後はアメリカの航空会社がB757の後継機種をボーイングへ要望していたことから、ANAもこの計画に期待し、2020年代半ば~後半にはこの機体の導入を待っていたかもしれません。2020年代半ばになると、A321ceoは導入から10年を過ぎ、順次B797との入れ替えが可能だったかもしれません。

しかし、現時点でボーイングはB737MAX-10とB777-XのFAA承認を取得すべくかなりのリソースを割いており、同時並行で3シリーズの開発を行う余力はありません。そこを突いて、エアバスはA321LRやA321XLRを市場投入すべく試験および生産を進めています。

ANAが発注したA321neoが完納されたとしても、2015年以降に再導入されたA321ceoはA321neoと共に長く日本の空を飛び続けるかもしれませんね。

筆者撮影(A321neo)

以下、ANAがA321neoを導入した際のプレスリリースです。残念ながらA321ceoのプレスリリースは見つかりませんでした。https://www.anahd.co.jp/group/pr/201709/20170907.html

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