先日、海外の旅行記を読んでいたところ、フランスの航空会社であるエア・カライベス(Air Caraïbes)のA350は横10列仕様のエコノミークラスであることを知りました。

私自身、何度かA350-900には搭乗したことがあり、横9列を採用するJAL国内線普通席もマレーシア航空の国際線エコノミークラスも座席幅が狭いと感じることはありませんでした。

しかし、横10列はどうでしょうか?隣人がいると仮定すると、乗客の多くは狭いと感じることは間違いないと思われます。そのため、今回のテーマでは、”A350におけるシート10列配置は進むのか”について考えてみます。結論としては、【A350における10列配置が広まる】と考えます。


根拠は以下の3点です。

  • エアバスがA350の横10列化に対応した内装変更を検討していること
  • 初就航から時間が経過し”A350=快適”の印象が根付いていること
  • コロナ禍により航空会社の経営状況が厳しいこと

まず、”エアバスがA350の横10列化に対応した内装変更を検討していること”について説明します。2022年7月にイギリスで開催されたファンボロー(Farnborough)航空ショーにおいて、著名なニュースサイトの取材に対しエアバスはA350の内装変更を検討していると回答しています。かつてA320においても客室のリニューアルとして広く感じさせるデザインに変更した歴史があり、同様の手法で窓周辺のスペースを広くする変更が想定されます。

以下の画像は同じA350-900における座席配置9列と10列のシートマップです。私見ですが、A380やB777にて横10列エコノミークラスを見慣れているせいか、機体サイズから10列化がされても違和感はありません。

日本航空HPより
エア・カライベスHPより

続いて、”初就航から時間が経過し”A350=快適”の印象が根付いていること”について説明します。ANAがB787を就航させた当時、国際線エコノミークラスの座席配置は横8列仕様でした。具体的には、2-4-2の座席が並んでいました。しかし、B787の快適性が浸透し、更には導入機数が増加すると、横9列仕様が登場し、数年間でこの仕様機が主力となりました。そこには新機種就航時のアピール戦略が隠されています。

日本航空HPより

現在、JALのウエブサイト上にあるA350を紹介する特設サイトでは、A350の快適性に関するキーワードが並びます。これはANAがB787を導入した際にも同じく快適性を謳っていました。そのため、利用者に新機種(A350)が快適であることの浸透が達成できた後は、サイレントチェンジとしてシート更新時期時に合わせて横10列へと仕様変更が行われる可能性があります。JALにおいてはA350-1000の導入時は横9列仕様とし、5年ほど経過しシート更新時期にひっそりと10列が導入される可能性はあると考えます。海外の航空会社に目を向けると、B777-300ERを運行するキャセイパシフィック航空やKLMオランダ航空は機内リニューアルに合わせて横9列から10列への変更を行っています。

ANA HPより(B777-300ERの横10列エコノミークラス)

最後に、”コロナ禍により航空会社の経営状況が厳しいこと”について説明します。A350はB777とB787の対抗機種として開発され、主に中長距離便での活用が想定されています。世界情勢をみると、ロシアによるウクライナ侵攻により2022年8月時点では日系航空会社はロシア上空通過ができず、ロシアを避ける北回りもしくは南回りルートを飛行しています。当面この状況に変化が表れる様子はなく、原油高の状況も重なり、運航コストは高止まりしています。そのため、一人でも多くの乗客を乗せられることができれば、一人当たりの運航コスト低減につながります。航空会社は様々な戦略をもってこのコロナ禍を生き延びようとしており、一機当たりの座席数増加は避けられないかもしれません。

筆者撮影

A350は新型のロールスロイス製エンジンを搭載し、機内騒音は従来型B777に比べて低減されています。仮にエコノミークラスが横10列仕様になった場合であっても、座席幅以外は従来機よりも快適に過ごせると思われます。JALがA350-1000を就航させる2023年度が待ち遠しいです。A350-1000が2023年のいつ導入されるのか日時、路線、更には機内仕様についてもまだ発表されていませんので、JALの公式発表を待ちたいと思います。

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