ANAグループの中距離LCCとなる”Air Japan”は、2024年2月9日に成田とタイ・バンコクを結ぶ路線で運航を開始しました。その後、2024年2月22日(木)からは成田とソウル(仁川)を結ぶ路線も就航しています。しかしながら、X(Twitter)やネットニュースを見ると、あまり評判は芳しくありません。今回はなぜAIR JAPANがネットにて叩かれ続けるのかを筆者予想にて解説します。

叩かれ続けてしまうポイントは以下3点です。

  • 欠航や遅延が多い
  • AIR JAPANの名前がANA便・LCC便の両方同じで紛らわしい
  • 客層が悪い

欠航や遅延が多い

AIR JAPANは2024年2月22日の成田・ソウル線の初就航便が欠航してしまいました。欠航理由はメインランディングギアで不具合が発生し、パーツ交換が必要となったとの会社説明でした。同タイミングにて、バンコク線においても欠航が発生し、こちらは就航後ということで多くの乗客がバンコクの空港にて深夜に待機していたことで、大きな混乱が発生したと報道されています。

そもそも、同社の運航機体数はANAから移管されたB787-8型機×1機のみであることから予備の機体が無く、今回のようにパーツ交換に時間が掛かる場合は欠航せざるを得ない状況となります。予備機体を多く持つANA本体と異なり、運行に際して融通の利かないAIR JAPANは不利になっています。

一方で、同じ中距離LCCであっても、JALグループの”ZIP AIR”の保有機体数は2024年3月現在、B787-8型機×8機となっており、機材不具合などの対応もAIR JAPANに比べると融通が利くと思われます。


AIR JAPANの名前がANA便・LCC便の両方同じで紛らわしい

AIR JAPAN(正式名称:株式会社エアージャパン)の会社の歴史は古く、1990年(平成2年)6月29日に設立されています。当時はワールドエアーネットワーク株式会社の社名であり、国際チャーター路線の運航を目的とした会社でした。その後、2001年に会社名をエアージャパンに変更し、ANAからの運航委託を受けて国際線の運航を開始しています。その結果、現在では主にANAから委託を受けた東南アジア路線を、ANA便として運航しています。

一方で、一般の乗客からすると、ANA便に搭乗しているため、運航委託会社がANA本体であってもAIR JAPANであっても関心が低い状況でした。そのため、LCCにてAIR JAPANの名前が知れ渡ることになったことで、ANA便に搭乗予定の乗客が航空券に記載された”本便はエアージャパンの機材・運航乗務員にて運行します”の文字を見て、「LCCに乗る羽目になった」と驚く状況は多数聞こえています。

しかしながら、ANA便とLCC便では機材およびサービスは明確に分けられているため、同じAIR JAPAN運行便であっても差別化は図られています。

筆者としては、この問題は事前に分かっていたと思われるため、同じAIR JAPANの名称は使用せずに、別の名前を用いたほうが良かったのではないかと思っています。


客層が悪い

筆者の印象となりますが、AIR JAPANの利用者はLCCの仕組みを理解せずに運賃のみを見て購入している乗客が多いのではないかと推測します。ネットニュースでは、トラブル発生時にLCC特有の自己責任という一面に憔悴したり、カウンターにて声を荒げたりする場面が映し出されていますが、LCCでは欠航時の対応は自分で代替便を見つけたり、数日後の自社便に振り替えてもらったりすることが一般的であり、数時間後のレガシーキャリア(ANAやJAL)に無償で振り替えてもらえることはありません。JALやANAのように、振り替えてもらえることが当たり前を思いこみ、なぜLCCは運賃を安価に抑えているのかを理解できていない乗客が多いことが、客層が悪くなる一つの要因と考えます。

筆者自身、過去に国内線にてJetstar便に搭乗したことがあります。その際に感じたことは、飛行機に乗り慣れていない乗客が多数いたよう見受けられ、離陸前にテーブルを取り出したり、離陸後も地上から電波が届く限りスマホゲームを楽しんだりSNSを使用したり、持ち込んだアルコールは禁止とアナウンスしているにも関わらずビール缶を開封したりと、ある意味で自由奔放でした。国土交通省発行資料によると、LCC利用率について、令和元年は国内線で10.6%、国際線で25.8%となります。まだまだLCC利用率は低い状況です。

国土交通省HPより

このような乗客の一部は、運賃が安い理由を気にせずに購入し、トラブル発生時にはレガシーキャリア同様の補償を声を大にして求めるケースが多いのではないかと推測します。


トラブルが発生しないようにAIR JAPANは努力を重ねている途中と思われるため、まずは路線拡大に伴って機体数を増やすことで、移動手段として欠航させない努力を積み重ねてもらいたいです。