夏の繁忙期の過ぎた平日の昼間に羽田空港や那覇空港のライブカメラを眺めていると、JALのA350が増えていると感じます。2022年9月時点でJALが運行するA350シリーズは、標準型となるA350−900型のみにて16機となります。
2013年のJALプレスリリースによると、発注した機体数は、A350−900型が18機、A350−1000型が13機の合計31機となります。よって、受領待ちの機体は、A350−900型が2機、A350−1000型は13機となります。JAL中期経営計画によると、2023年にA350−1000型を2機受領し、B777−300ER型を置き換えることが決まっているため、来年投入される路線は国際線であると想定されます。
現在国内線にて運行されているA350−900型はB787同様に乗客から快適と評判であり、既に羽田発着の幹線路線に投入されていることから、国内線のフラッグシップ機の地位を築いています。このシリーズの国際線仕様機となると、乗客の期待は相当なものが予想されます。
新型コロナウイルス対応として海外からの入国制限が緩和されつつあり、国際線の運行便数も徐々に回復途上です。そのため、A350−1000型の国際線仕様機の導入は計画通り2023年に実施されることは確実であり、今回は初投入される路線を推測してみます。A350-1000が2023年のいつ導入されるのか日時、路線、更には機内仕様についてまだ発表されていませんので、あくまでも筆者の独自予想となります。
前提条件として、新しい機体を就航させる上での必須条件として挙げられるのは、トラブルへの対応力です。JALのA350はまだ国際線へ就航を果たしておらず、A350−1000がJALにおける初めてのA350国際線就航となります。よって、万が一トラブルが発生した場合、トラブル処置を安全かつ迅速に行うことのできる就航地を選定する必要があります。この前提を基に、候補となる就航地を3つ挙げてみました。
①マレーシア・クアラルンプール国際空港
筆者が最有力として考えるのは、マレーシアの首都クアラルンプールの玄関口であるクアラルンプール国際空港です。この空港を使用するのは、マレーシアのフラッグキャリアとなるマレーシア航空です。同社はA350−900の運行実績があり、成田空港にも就航しています。また、JALと同じ航空連合のワンワールドメンバーです。よって、万が一、トラブルが発生してしまった場合、マレーシア航空のサポートを受けて部品を融通したり、乗客を振り替えたりする事態にも備えることができると考えられます。一方、現在、成田空港とクアラルンプール国際空港との間にJALが就航させているのはB787型であり、置き換え対象となるB777−300ER型ではありません。よって、A350−1000型がクアラルンプール国際空港に就航した場合には、A350−1000型に搭載されると噂されるファーストクラスは販売せず、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスの3クラス制になると考えられます。
②シンガポール・チャンギ国際空港
続いて有力と考えるのは、シンガポールにあるチャンギ国際空港です。この空港を使用するのは、シンガポールのフラッグキャリアとなるシンガポール航空です。シンガポール航空はA350−900型(ULR型含む)を60機運行しており、これは世界で最も多い運行機数です。(カタール航空はA350型を全機受領した場合、シンガポール航空を抜いて1位となる予定でしたが、塗装劣化問題によりA350−1000型が一部キャンセルされてしまったため、現在の発注機数ではシンガポール航空を超えることはありません)そのため、万が一、機体トラブルが発生した場合は、修理やメンテナンスを請け負うメンテナンス会社によるサポートをJALも受けることができると考えられます。また、シンガポールへの就航路線は羽田空港と成田空港から毎日合計2便運行していることから、万が一欠航になったとしても、自社便への振替のしやすさがあります。
JALはチャンギ国際空港にはB777-200ER型とB787型の両機種が就航しており、A350-1000型の4クラス制では少々大きすぎることから、こちらもクアラルンプール国際空港同様に一時的なものになると予想します。
③タイ・スワンナプーム国際空港
最後に、スワンナプーム国際空港も候補地として考えられます。この空港を使用するのは、タイのフラッグキャリアであるタイ国際航空です。タイ国際航空はA350−900型を12機運行しており、クアラルンプール国際空港、チャンギ国際空港同様に、万が一の体制も問題ないと考えられます。また、スワンナプーム国際空港にはB777-300ER型が不定期に就航していることから、初就航の際にはファーストクラスも販売される可能性があります。
上記3候補に共通して言えることとして、ある程度の慣熟飛行を済ませた後は、欧米路線へ就航させることです。
過去にANAがB777−300ER型を初就航させた先は上海でした。その後、慣熟飛行を終え、欧米路線へと投入した経緯を踏まえると、JALのA350−1000型も同じように近〜中距離国際線に初投入し、その後は航続距離や機内仕様を満たす長距離国際線である欧米路線へ投入するのは自然な流れであると言えます。
私自身は初便に搭乗することは難しいのですが、JALによる正式なアナウンスを待ちたいと思います。