25年前の今日9月8日は、日本の国内線では最多の座席数を誇る機種であるB777-300型機がロールアウトした(公開された)日となります。(1997年9月8日)

B777-300型機はB747SRの後継機種としてANA、JAL共に導入され、羽田発着の幹線にて20年近く運航され続けました。2022年現在ではJALのB777-300型機はER型を除いて全て退役した一方、ANAはプラットアンドホイットニー製エンジンのトラブルにより長らく運航を停止していたB777-300型機を復帰させています。そのため、ANAについては当面、国内線にて見かけることができると思われます。B777シリーズではB777-300ERが花形路線を担当することから一番目立つ存在ですが、今回はER型ではないB777-300型機の特徴にフォーカスして説明します。

  • 座席数514席は国内線最大!
  • B777シリーズでは最小の60機が生産!
  • 現在は徐々に退役
筆者撮影(ANA B777-300)

まず、”座席数514席は国内線最大!”について解説します。日本のエアラインが運航する機材で最も座席数が多いのはANAが運航するA380となります。こちらの機体は4クラス制で520席を有しています。A380は国際線である羽田とホノルル間のみで運行される機材であり、国内線となるとB777-300が最大座席数となります。しかも、A380は総二階建ての構造である一方、B777-300は1階建て構造となります。よって、いかにB777-300が国内線用機材として多くの普通席を有していることがお分かりいただけるかと思います。かつではJALもB777-300を運行していましたが、現在はANAのみとなります。

筆者撮影(ANA B777-300ER)

続いて、”B777シリーズでは最小の60機が生産!”について解説します。B777シリーズは初号機である-200型から開発がスタートしました。下記表が2022年7月末までの受注機数となります。

モデル名称機数
B777-20088
B777-200ER422
B777-200LR61
B777-Freighter312
B777-30060
B777-300ER838
B777-X(旅客型)300
B777-8Freighter41
一般財団法人 日本航空機開発協会 HPより

上記の表から読み取れることとして、受注はB777-200ERとB777-300ERに集中していることが分かります。理由として、B777は大型双発機に該当するため、ある程度の乗客と貨物を搭載して長距離飛行することがエアラインのニーズであったためです。ボーイングによるカタログ上の航続距離によると、B777-300型は11,000km、B777-300ER型は15,000kmであり、その差は4,000kmとなります。実際のところ、B777-300型機であってもある程度の長距離便は運行可能です。しかし、重量の重い貨物を搭載することになったり、強い向かい風による燃費の悪化により定時運行が難しい条件下での飛行をエアラインが許容せず、長距離便ではER型が好まれる傾向があります。よって、B777-300型機はアジア域内での短~中距離運行に特化して導入される傾向が強まりました。運行していたエアラインは、ANA、JALに加え、キャセイパシフィック航空、大韓航空、シンガポール航空、タイ国際航空があります。一方で、欧米エアラインからの発注はありませんでした。

筆者撮影(キャセイパシフィック航空 B777-300)

最後に、”現在は徐々に退役”について解説します。新型コロナウイルスの影響により、エアラインは国内線はもとより国際線の運航はほぼ皆無となる危機的状況に陥りました。そのため、1990年より運行が開始されたB777-300型の多くは地上待機や砂漠での長期保管となり、そのまま退役となってしまった機体も出ています。B777-300型を運行するエアラインはB777-300ER型も保有しており、機齢の若い機体を優先して運行に復帰させるのは自然な流れと言えます。一方で、ANAはB777-300型を国内線で復帰させる一方で、国際線用のB777-300ER型機の退役を進めました。理由として、国内線ではB777-300ER型がアンマッチということが挙げられます。B777-300型よりもB777-300ER型は全幅が4m大きいため、国内線用の駐機場では取り回しに注意が必要なためです。

筆者撮影(キャセイパシフィック航空 B777-300型)

以下、私見ですが、搭乗口にてこの機体を見かけた時の高揚感はたまらないものがあります。そのため、徐々に見かけることは少なくなると思われますが、退役まで安全運航にて頑張ってもらいたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です