先日、成田国際空港会社(NAA)が地元自治体との意見交換会にてターミナル再編を提示したとのニュースがありました。完成時期は未定とのことですが、現在3つあるターミナルをひとつに集約する構想は、現在の成田国際空港を大きく作り変えることを意味しています。現時点では3本目の滑走路となるC滑走路完成予定が2029年と発表されて以降の計画は公開されていませんが、今回、筆者がどう成田国際空港の建て替えを進めるのか独自に予想してみました。
0.現在の成田空港内に空地はない
空港機能を止めずに新ターミナル建設工事を行うためには、既存ターミナルを運用したまま新たなターミナルを建設することが現実的です。現時点では成田国際空港の敷地内にターミナルを建設できるほどの空地はありません。ゆえに、すぐに新ターミナルが建設されることは発表通り”無い”と考えられます。
1.貨物ターミナルの移転
2029年にC滑走路が完成すると、B滑走路とC滑走路の中間に広大な敷地が造成されます。上記Googleマップ上の緑色エリアです。筆者の予想では、ここに貨物ターミナルを移転させると考えます。そうすることで、現在の第一ターミナル北側に広い敷地を確保することができます。他の空港施設を見てみると、例えば仁川国際空港やロサンゼルス国際空港は空港ターミナルビルと貨物ターミナルは滑走路を隔てて建てられるケースが見受けられました。また、貨物ターミナルを新たに造成するエリアに建設した場合、道路のみを建設するだけで運用が可能です。仮に旅客ターミナルビルをこのエリアに新たに建設した場合、鉄道の敷設が必要になるため、工事期間や費用の増加が見込まれます。更に、A滑走路との距離が離れることで地上滑走の距離が伸びてしまい、運用上の支障にも繋がります。よって、新たに造成されるエリアは貨物ターミナルとなることが有力です。筆者の予想では、C滑走路完成後に近隣自治体への説明が行われ、2030年早々に着工、2035年頃に完成と考えます。
2.貨物ターミナルに新ターミナル建設(第一期)
上記Googleマップ上のオレンジ色エリアに新ターミナルビルを建設すると予想します。貨物ハンドリング機能を新貨物ターミナルへ移管した後、既存建屋の解体が始まります。2035年頃に新たな施設へ移管したとして、5年ほどの期間を経て新たなターミナルビルが建設され、運用開始は2040年頃と予想します。一方、このターミナルビルだけでは現在の3つのターミナルのキャパシティを満たすことは到底できないため、”スクラップアンドビルド”により順次建て替えが行われると予想します。最初にこの新ターミナルビルに入居するのは、第一ターミナルを使用するエアラインと予想します。一方で、チェックインカウンターが並ぶ出発ロビーは仮住まいでの運用開始になると予想します。実際のターミナルビルの本館は第一ターミナル跡地に建設するためです。
3.第一ターミナルを解体し、新ターミナル建設(第二期)
上記Googleマップ上の紫色エリアに”ONEターミナル本館”を建設すると予想します。第一ターミナルはリニューアルを経ているものの、1978年の開港当時の建物を流用しており老朽化が進んでおり、最初に解体するターミナルビルとなります。スクラップアンドビルドを行う場合、第一ターミナルが位置する中心部分が最も広い面積を占めており、ここが”ONEターミナル”の本館になると考えます。取り壊しは2040年頃、完成は2045年頃と予想します。完成した後は、LCC以外のエアラインがこちらに移管されると予想します。
4.第二ターミナルを解体し、新ターミナル建設(第三期)
上記Googleマップ上の青色エリアにLCCが使用する新たなターミナルビルを建設します。LCC以外のエアラインが新たなターミナルに移管された後、第二ターミナル跡地にLCC専用ターミナルが建設されると予想します。こちらは最も遅く、2050年頃と予想します。これにて”ONEターミナル構想”が完成します。
5.整備地区を解体し、サテライトターミナル建設(第四期)
旅客需要が更に増えた場合、”ONEターミナル”周辺の敷地は既に開発が終わり、新たなビルを建設する場所がありません。一方で、スポットを増やす場合はサテライトターミナルが有効となります。そこで、空港敷地南側にあるJALとANAの整備場を新貨物ターミナル側に移設し、この跡地にサテライトターミナルを建設することも可能と考えます。上記Googleマップ上の黄色エリアです。本館とサテライトターミナルの間は地下にて専用の新交通システムを走らせる必要がありますが、都内に直通するような鉄道と異なり、建設の難易度は高くありません。
C滑走路建設に伴い新たな土地が造成されることで、”玉突き”にて新しいターミナルビルを建設する成田国際空港の再編から目が離せませんね。
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