JALは2023年にA350-1000を2機導入することを発表しています。A350-1000はB777-300ERの後継機種として導入することを正式に発表しており、筆者の推測では新たな仕様のファーストクラスが搭載されるのではないかと考えています。
このA350-1000が2023年のいつ導入されるのか日時、路線、更には機内仕様についてもまだ発表されていませんが、この記事では新たに導入されるファーストクラスがどのような仕様になるのか、独自に予想してみました。
ポイントは以下の4点です。
- 現行よりも座席数を減らした4席仕様
- 黒を基調とした落ち着いたデザイン
- 個室感を高めるための扉を装備
- 航空機用シート業界で存在感を高めつつあるジャムコ製(完全なる予想)
まず、”現行よりも座席数を減らした4席仕様”について解説します。現在のJALファーストクラスは通路を2本挟み、窓側に1席、中央に並び席の2席、そして反対側の窓側に1席の計4席並びます。そして、それが縦に2列並び、合計8席の空間となっています。しかし、A350-1000では合計4席になると予想します。その理由として、A350-1000は現行B777-300ERよりも全長が短くなるためキャパシティの観点ではダウンサイジングとなるためです。ファーストクラスを現行通り8席確保する場合、他のクラスにて座席数を減らさなければなりません。コロナ禍により日本人による近距離の観光需要は戻りつつある一方、円安ドル高による米国への観光需要および海外出張の需要はまだ弱い状況です。そのため、ファーストクラスを8席ではなく4席に減らすことが予想されます。
続いて、”黒を基調とした落ち着いたデザイン”について解説します。現在の国際線用ファーストクラスは茶色を基調としたクラシックなデザインとなっています。しかし、新たなファーストクラスは黒と白を基調としたモノトーンのデザインになると予想します。これは、既に国内線用A350-900に搭載されているファーストクラスが黒を基調としたデザインを採用していることが挙げられます。国内線用と国際線用の座席では全く仕様が異なる一方で、カラーコーディネートでは統一感を図るのではないかと考えます。
一方で、JALの競合となるANAについても国際線用ファーストクラスの座席カラーは青ではなく黒を基調としたものに変更しています。そのため、同じ黒色であったとしても、ANAは先進的なデザイン・色合いの黒であり、JALは伝統と格式を重んじるような黒のデザイン・色合いとし、両社間で差別化を引き続き図ると考えます。
そして、”個室感を高めるための扉を装備”については、近年はファーストクラスに必須となっている個室感を高めるための物として扉の存在が重要となりますので、新たなJALのファーストクラスにおいても引き戸が装備されることは確実と考えます。
最後に、”航空機用シート業界で存在感を高めつつあるジャムコ製”について解説します。JALのファーストクラスの製造メーカーについて、現行シートはフランス・サフラン製(旧ゾディアック・エアロスペース製)となります。そして、その前のスカイスリーパーソロは小糸工業製(現KIホールディングス)でした。しかし、国内線用A350-900のファーストクラスについてはジャムコ製を採用しています。また、ANAにおいてもファーストクラスはジャムコ製を採用しました。他にも、日本に就航しているエアラインではシンガポール航空が同じくジャムコ製のファーストクラスを搭載しています。これら直近の実績より、JALの新型ファーストクラスはジャムコが担当するのではないかと予想します。
また、コロナ禍により世界各国のサプライチェーンは混乱し、海外渡航は直近まで出来ない状況でした。そのような中でファーストクラスのシート開発を進めるのは色々な苦労が発生します。特にシートの質感の確認やデザインについての打ち合わせはWeb会議ツールを通じてでは想いが伝わりにくいと感じます。そのため、同じ日本国内の会社同士であれば、海外企業に比べると打ち合わせは容易であり、開発についても道筋を立てて進行しているのではないかと筆者は考えます。
世の中のファーストクラスについて、A380を運行するエアラインによるスイートクラスのような部屋タイプもあれば座席タイプにて運行するエアラインもあり、二極化していると考えます。JALにおいてはA350-1000への搭載ではB777-300ERから機体サイズが減少する都合上、座席タイプになると考えられますが、細かい部分のアップデートが図られると思われます。また、ホスピタリティにおいても引き続き現行のファーストクラス同様の快適な空の旅が約束されることでしょう。