JALは2023年にA350-1000を2機導入することを発表しています。A350-1000はB777-300ERの後継機種として導入することを正式に発表しており、筆者の推測では新たな仕様のビジネスクラスが搭載されるのではないかと考えています。

そのため、この記事では新たに導入されるビジネスクラスがどのような仕様になるのか、独自に予想してみました。

JAL HPより。B777-300ERに搭載されているSky Suite 。

尚、ファーストクラス編については以下のリンク先に掲載しております。また、A350-1000が2023年のいつ導入されるのか日時、路線、更には機内仕様についてもまだ発表されていませんので、あくまでも筆者の独自予想となります。

新ビジネスクラスのポイントは以下の4点です。
・現行B777-300ERと同じ50席程度を確保
・全席通路側かつ前方を向いた1-2-1の座席配置
・横幅の広いシート
・黒を基調とした落ち着いたデザイン
・個室感を高めるための扉を装備
・航空機用シート業界で存在感を高めつつあるジャムコ製(完全なる予想)

順番に各項目を詳しく解説します。


B777-300ERと同じ50席程度を確保
全長について比較すると、B777-300ERは73.9mに対し、A350-1000は73.79mとなり、ほぼ同じ全長となります。一方で、胴体幅はB777-300ERは6.19mに対し、A350-1000は5.96mであり約20cm狭いです。しかし、昨今のビジネスクラスの標準座席配置である1-2-1のレイアウトであれば、胴体幅は座席数に大きな影響は与えません。そのため、全長が同じことから、B777-300ERと同じ50席程度を設けることが想定されます。

JAL HPより。B777-300ERの座席配置。

一方、先日記載したファーストクラスの予想記事において、ファーストクラスは現在の8席から4席となるのではないかと予想しました。そのため、ビジネスクラスはこの4席分を使用して4席~8席程度増となる可能性もあると予想します。


全席通路側かつ前方を向いた1-2-1の座席配置
現在日本へ乗り入れているエアラインのビジネスクラス仕様を筆者独自に集計しました。その表が下記の通りです。

Noエアラインベース国座席配置通路への直接アクセスA350
1ANA日本*1-2-1有り有り
2ユナイテッドアメリカ*1-2-1有り無し
3デルタアメリカ*1-2-1有り有り✔︎
4アメリカンアメリカ*1-2-1有り無し
5ハワイアンアメリカ*2-2-2無し無し
6フィンエア欧州*1-2-1有り無し✔︎
7SAS欧州*1-2-1有り無し✔︎
8スイス航空欧州*2-2-2無し無し
9ブリティッシュエアウェイズ欧州*1-2-1有り有り✔︎
10ルフトハンザ欧州*2-2-2無し無し✔︎
11エールフランス欧州*1-2-1有り有り✔︎
12KLM欧州*1-2-1有り無し
13エミレーツ中東*1-2-1有り無し
14カタール航空中東*1-2-1有り無し✔︎
15エティハド航空中東*1-2-1有り無し
16エアインディアアジア*2-3-2無し無し
17シンガポール航空アジア*1-2-1有り無し✔︎
18タイ航空アジア*1-2-1有り無し✔︎
19ベトナム航空アジア*1-2-1有り無し✔︎
20チャイナエアラインアジア*1-2-1有り無し✔︎
21エバー航空アジア*1-2-1有り無し
22中国国際航空アジア*1-2-1有り有り✔︎
23中国東方航空アジア*1-2-1有り有り✔︎
24中国南方航空アジア*1-2-1有り無し✔︎
25大韓航空アジア*1-2-1有り無し
26アシアナ航空アジア*1-2-1有り無し✔︎
27キャセイパシフィックアジア*1-2-1有り無し✔︎
28カンタスオセアニア*1-2-1有り無し
29ニュージーランド航空オセアニア*1-2-1有り無し
筆者集計

現在はほぼ全てのエアラインが直接通路にアクセスできるビジネスクラスを日本路線に導入、もしくは導入予定としています。そのため、エアラインのトレンドは間違いなく直接通路にアクセスできる座席配置となります。現時点でもJALやANAは長距離機材においてはこの座席配置としており、A350-1000においてもこの仕様は引き継がれると予想します。

一方で、ANAは2019年に新しいビジネスクラス”THE Room”を導入しました。この座席は一部が進行方向とは逆を向いています。この逆向き座席は、日本に就航しているエアラインではユナイテッド航空、カタール航空のビジネスクラスにて見られ、ANAの”THE Room”含めYoutubeの搭乗レビューによると逆向き座席は「気にならない」「気になる」の賛否分かれている状況です。そのため、筆者の予想では、JALは逆向き座席は採用しないと考えます。理由としては、JALは革新性よりも確実性を重んじる傾向があり、賛否が分かれる逆向き座席は一部の利用者であっても否定的な意見が存在するということで見送ると考えます。

ANA HPより。THE Room。

座席配置については、現在のエアラインにてメジャーとなっている1-2-1になると予想します。現在のJAL国際線仕様機においてはビジネスクラス配置は様々なレイアウトが存在していますが、B777-300ERにおいては1-2-1の座席配置の仕様に統一されています。このB777-300ERにおいてANAや他社と異なりユニークなのは、中央席が2席もしくは1席となっていることです。日本に乗り入れているエアラインにてこの座席配置となっているビジネスクラスは他にありません。しかし、A350-1000はB777-300ERよりも胴体幅は狭いことから、新たなビジネスクラスは1-2-1に落ち着くと思われます。


横幅の広いシート
現在のJALビジネスクラスにはスタッガードタイプとなる”JAL SKY SUITE”が存在します。これは座席を互い違いとし、全席が通路にアクセスできるようにしています。”JAL SKY SUITE ”には3タイプ存在し、最新はⅢとなります。しかし、最近ではシンガポール航空やANAの”THE Room”のように横幅の広いビジネスクラスを導入するケースが増えています。そのため、JALも次期ビジネスクラスはトレンドを捉え、横幅の広いビジネスクラスになると予想します。

Singapore Airlines HPより

黒を基調とした落ち着いたデザイン
現在のビジネスクラスはワインレッドを基調としたデザインとなっています。しかし、新たなビジネスクラスは黒と白を基調としたデザインになると予想します。これは、既に国内線用A350-900に搭載されているファーストクラスが黒を基調としたデザインを採用していることが挙げられます。国内線用と国際線用の座席では全く仕様が異なる一方で、カラーコーディネートでは統一感を図るのではないかと考えます。実際に”JAL SKY SUITE”の一部機体は黒色のシートに改造されています。


個室感を高めるための扉を装備
ANAが”THE Room”にて扉を装備したビジネスクラスを発表したように、近年は扉付きのビジネスクラスが増えています。ANA以外であれば、デルタ航空、エールフランスなどがあります。しかし、主に中東や欧米のエアラインが多く、アジアのエアラインで扉を装備したビジネスクラスを導入している事例は少ないです。そのため、JALがビジネスクラスに扉を装備するのかは気になるところです。筆者の予想では装備すると考えます。理由としては、日本人の国民性です。ビジネスクラスにおいては開放感よりも個室感を重視する傾向があると考えます。例えば機内において仕事を書類を見たり化粧を落として眠ったりする際には、扉がある方が他人の目が気にならないということで、扉を好むのではないかと感じます。そのため、JALにおいてはANA同様に扉付き仕様にすると予想します。

Delta HPより

航空機用シート業界で存在感を高めつつあるジャムコ製(完全なる予想)
JALのビジネスクラスの製造メーカーについて、現行シートとなるSky Suite ⅢはSafran Seats(旧Zodiac Seats)となります。また、ANAの”THE Room”はSafran Seats製を採用しました。そのため、有力候補はSafran Seatsとなります。しかし、近年、日本メーカーであるジャムコが力を伸ばしており、ビジネスクラスにおいても”Quest Premium Business Class Seat”というシリーズで扉付きを開発しました。コロナ禍によりサプライチェーンは混乱し、海外渡航が自由に出来ない時期があったため、日本国内メーカーであるジャムコと協業し、JALはこのシリーズを導入するのではないかと考えています。

ジャムコ社 HPより

https://www.jamco.co.jp/ja/business/sd/quest.html


以上、筆者の独自予想でした。実際にどのような仕様のビジネスクラスが登場するのか楽しみに待ちたいと思います。

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