2023年11月22日、JALより次の発表がありました。


JAL国際線の新旗艦機エアバスA350-1000型機の就航日については、年内就航開始予定とご案内をしてまいりましたが、受領が遅れる見込みとなりました。

JAL Websiteより https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2023/inter/231122/

JAL A350-1000型機の初就航について、羽田空港発着のニューヨーク便ということは確定しているものの、時期については当初は11月下旬、次に年内へと延期となり、11月時点では2024年に持ち越しとなりました。

原因は”客室内の一部に追加作業が発生したため

報道されている内容によると、初就航の延期理由は、A350-1000型機の客室内の一部に追加作業が発生したためとのことです。(ブルームバーグ情報)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-22/S4I6AQT0AFB401

現在の公表された内容から原因を断定することはできませんが、大きくは次の2点のいずれかと考えられます。


推定原因①:JAL初導入の内装の仕上がりおよび仕様再調整

今回のJAL A350-1000型機に搭載するシートの製造メーカーは次の通りです。

クラス製造メーカー本社所在地
ファーストクラスSafran Seats GBイギリス
ビジネスクラスSafran Seats GBイギリス
プレミアムエコノミークラスSafran Seats Franceフランス
エコノミークラスRECAROドイツ
JAL プレスリリースより https://press.jal.co.jp/en/release/202310/007654.html

客室内の追加作業=シートが原因とは断定はできません。しかしながら、今回のシートにはJAL初および世界初の仕様がいくつかあります。

  • 扉の設置(JAL初)
  • ヘッドレスト内蔵スピーカー(世界初)
  • プレミアムエコノミークラスにおける電動リクライニングシート(世界初)
  • Bluetooth接続対応の機内エンターテインメントシステム(JAL初)

実際に機体に取り付けてテストを実施したところ、JALと製造メーカー側の認識が異なる部分があったり、運用開始に満たない状況であったりしたのではないかといった原因が推測されます。

筆者の想像となりますが、ヘッドレスト内蔵スピーカーについては、飛行中の機内でどの程度はっきりと聞こえるのか、ノイズキャンセリングヘッドホンに代えての使用に耐えうるのか気になるところであり、このセッティングに時間が掛かっているのではないかと想像しています。(例:設置したスピーカーでは音が小さ過ぎることから、より大きなスピーカーを準備している、等)


推定原因②:設置後の動作試験による不具合

現在の旅客機に搭載されたシートには、国際線機材を中心に個人用モニターが設置されています。そのため、過去にはA380-800型機の初就航が2年遅れた事例がありました。これは、A380型機が世界最大の機体となったことから機内配線の長さが500kmを超えるため、エアライン独自の機内レイアウト設計だけではなく取付にも時間が掛かったことが要因でした。既にA350-1000型機は多くのエアラインにて就航しているため、機内配線の設計や設置についてはトラブルなく行われていると推測されることから、仮にトラブルが起こっているとすると、全ての座席および設備を設置し終えた後の動作試験において電波干渉等の問題が発生し、対策部品を準備しなければならない状況になっているのではないかと想定します。

世界初ヘッドレスト内蔵スピーカー(JAL Websiteより)

推定原因①および②については、筆者の想像の域を出ないため、実際の原因は不明である一方、JAL側は初就航に際して万全の準備を行っていると思われます。筆者は初就航に搭乗することは叶わないため、まずは初就航日のリリースおよび初就航便の搭乗者レビューを待ちたいと思います。

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