2023年11月13日 ~ 2023年11月17日の5日間に渡って行われたドバイエアショーが閉幕しました。この航空ショーでは、95 か国から1,400 を超える出展者が参加し、様々な企業がアピールしたい製品を持ち込み展示を行いました。そのため、航空機メーカーやそのサプライヤーである売主側だけではなく、買主側となるエアライン関係者も多く参加しました。
特に注目されたのは、世界の2大航空機メーカーであるエアバス社とボーイング社の受注ニュースです。エアショーは多くの報道機関が集まる場であり、受注先となる製造メーカーは機体の人気度をアピールする機会となり、発注元となるエアラインは新機材による顧客満足度・環境・安全性向上をアピールする機会となります。そのため、受注側・発注側の両社にとってメリットのあるエアショーでの発注・受注は集中する傾向にあります。
今回はドバイエアショーでのエアバス社およびボーイング社の機体を対象に、機体別受注機数をランキング化しました。尚、情報元は両社のプレスリリースです。また、受注については確定受注のみを対象とし、オプション権は対象外としています。
第3位:B787シリーズ 47機
第3位はB787シリーズの47機受注となりました。発注者はロイヤル・エア・モロッコが2機、ロイヤル・ヨルダン航空が4機、エチオピア航空が11機、フライドバイが30機の合計47機でした。B787シリーズは初飛行を行った2009年12月から14年が経過しているものの、競合機種であるA330neoよりも受注を伸ばしています。今回のように、既に導入済みのエアラインからは少数の追加受注があったり、フライドバイのように新たなエアラインから受注したりと、多くのエアラインから支持を受けています。
第2位:B737MAXシリーズ 72機
第2位はB737MAXシリーズの72機となりました。発注者はSCAT航空の7機、エチオピア航空の20機、サンエクスプレスの45機(他45機のオプション権もあるもののカウント対象外)となります。注目すべきはエチオピア航空からの受注です。同社は、2019年3月にB737MAX8の墜落事故を起こしており、ボーイング社による設計上の欠陥が原因とされた一方で、事故から4年が経過したことで、同型機の安全性が各国の航空当局にて認可されており、多くの機体が運航されています。これらの状況から、現在運航中の18機のB737-800型機の後継機種として選定したものと推測されます。
第1位:B777Xシリーズ 90機
第1位はB777Xシリーズの90機となりました。発注者はエミレーツ航空90機となります。尚、既にエミレーツ航空はB777Xシリーズを発注済みであり、今回の90機受注を加えるとエミレーツ航空からのB777Xシリーズの受注合計機数は205機となりました。2023年時点でエミレーツ航空は150機近いB777シリーズ(主にB777-300ER型機)を運行しており、今後はこれらのB777シリーズを置き換えることになると推測されます。
また、エミレーツ航空と言えば、A380型機の世界最大のオペレーターであり、現在、116機運行してします。しかしながら、A380型機は2021年12月に最終号機(ラインナンバー272)をエミレーツ航空に引き渡し、生産を終了しています。そのため、今回のB777XシリーズはA380型機の置き換えも想定していると考えられます。
製造メーカー別の受注機数
エアバス社
製造メーカー | 機種 | 機数 | エアライン |
Airbus | A350 | 10 | エジプト航空 |
Airbus | A350 | 11 | エチオピア航空 |
Airbus | A350 | 15 | エミレーツ航空 |
Airbus | A220 | 30 | エア・バルティック |
66 |
ボーイング社
製造メーカー | 機種 | 機数 | エアライン |
Boeing | B787 | 2 | ロイヤル・エア・モロッコ |
Boeing | B787 | 4 | ロイヤル・ヨルダン航空 |
Boeing | B737MAX | 7 | SCAT航空 |
Boeing | B787 | 11 | エチオピア航空 |
Boeing | B737MAX | 20 | エチオピア航空 |
Boeing | B787 | 30 | フライドバイ |
Boeing | B737MAX | 45 | サンエクスプレス |
Boeing | B777X | 90 | エミレーツ航空 |
207 |
筆者自身、今回のドバイエアショーにてJALがB767シリーズの後継機種として、A330neoもしくはB787シリーズを追加発注するのではないかと思っていましたが、特にニュースはありませんでした。円安であることから機体価格が高騰する状況につき、発注時期を見計らっているのかもしれません。また、航空需要が世界中で急回復している状況から、海外エアラインは機体の発注を急いでおり、ボーイング社およびエアバス社の受注残は膨れ上がっている状況から、日系エアラインは発注を急いでいないことも考えられます。