2024年3月27日、ANAはB787-10型機を国内線へ初就航させました。これまでANAはB787-10型機を3機所有し、国際線にて運行していました。しかし、2020年にB777-200型機の後継機種として11機のB787-10型機を発注し、ようやく2024年3月に就航となった状況です。

一方、ANAの保有機数として、B787-8型機は34機、B787-9型機は42機となっているのに対し、B787-10型機は国内線11機+国際線3機と他のB787モデルに比べると少ない状況です。

ANAの中では少数モデルであるB787-10型機は世界各国であっても少数派であり、導入済みのエアラインは10社に満たない状況です。

今回の記事では、B787-10型機の特徴について”辛口評価”にて解説します。


B787シリーズの中で最も航続距離が短い!

B787-8B787-9B787-10B777-200ER
航続距離km15,200km15,750km11,910km14,316km
Wikipediaより引用

B787-10型機の大きな欠点は、航続距離がB787シリーズの中で最も短いことです。更に、B777-200ER型機よりも航続距離が短い状況です。ANAは国内線で運行しているB777-200ER型機の後継機種や東南アジア路線の増強用としてB787-10型機を導入しており、航続距離の短さは影響は大きくありません。しかしながら、ユナイテッド航空はB787-10型機を太平洋路線ではあまり使用しておらず、いまだにB777-200ER型機を多用させています。

なぜ航続距離が短いのか?については、最大離陸重量がB787-9型機とB787-10型機が同じであることが影響しています。最大離陸重量を引き上げるには、着陸装置(ランディングギア)の強化が必須になります。もともとB787シリーズはB787-9型機・B787-8型機・実現することなく消えてしまったB787-3型機の3モデル体制でしたが、A350シリーズの躍進から急遽B787シリーズを大型化した状況です。そのため、着陸装置の強化や機体構造強化の余地がない状況と思われます。


B787シリーズの中で最も全長が長い!

B787-8B787-9B787-10B777-200ER
全長m56.7m62.8m68.3m63.7m
Wikipediaより引用

B787-10型機の特徴は、何と言ってもB787シリーズの中で最も長い全長です。全長はB777-200ER型機よりも長い状況です。そのため、座席数に関して、ANAが国内線で就航させているB777-200ER型機の2クラス405席に対し、B787-10型機は2クラス429席となります。長い全長を活かして、国内線では前述のB777-200ER型機およびB777-300型機の後継機種として導入が進みます。


B787-10型機の改良版が登場する可能性は低い!

筆者の予想ですが、B787-10型機の改良版の登場可能性は低いと考えています。なぜながら、現在のボーイング社はB777-Xシリーズの開発遅延、B737MAXシリーズなどの製造上の欠陥調査など、多くの問題を抱えてしまっています。本来であれば、B787シリーズは貨物機開発の噂が出たり、NMA(Next-Generation Midsize Airplane)の開発が報道されたりと、新機材のニーズはあるはずなのですが、そこへのリソースを割くことが出来ていない状況です。そのため、B787-10型機の改良版へのニーズは高いはずですが、ボーイング社では対応ができず、現状ではエアバス社のA350-900型機が好評を得ております。


B787-10型機はANAの国内線最大サイズの主力機となります。販売は苦戦していますが、続々の登場が楽しみですね。