航空ファンを魅了する機体のひとつがB787、”ドリームライナー”の愛称でも親しまれている機体ですが、実は15か月間、エアラインへの納入がストップしていました。しかし、2022年8月10日にアメリカン航空が再開後の引き渡し1号機となりました。今回はこのニュースについて解説します。
ポイントは以下の3点です。
- 納入停止の原因
- 納入再開まで時間が掛かった理由
- 納入再開後もボーイングに待ち受ける苦難
まずは”納入停止の原因”について解説します。理由は複数あり、製造時に機体のフレーム同士を接合する際のギャップ(隙間)が適切に処置されていなかったことや接合に使用するチタン製の部品に製造上の欠陥があったことなど、複数要因が存在します。それらの品質上の問題を抱えたB787でしたが、すぐさま飛行に問題のある欠陥ではないとされ、生産は続けられました。しかしながら、FAAはボーイングに対して設計通りの製造ができるよう品質改善を指示したことで、既に完成し納入待ちである機体を改修しなければがならないことから、納入がストップする事態となりました。
続いて、”納入再開まで時間が掛かった理由”について解説します。理由としては、B737MAXの2度の墜落事故を契機にボーイングに対する世間の目が厳しくなり、FAA(米国連邦航空局)もボーイングに対して厳しい指導を行う必要性が出ていることから、ボーイングが作成した改善計画の審査に時間が掛かった状況です。
最後に、”納入再開後もボーイングに待ち受ける苦難”について解説します。先日、アメリカン航空にB787の納入が再開されましたが、既に完成済みの機体は約120機あると言われています。これらの機体を順次改修し、エアラインへ引き渡していかなければなりません。一方で引渡し遅れによる金銭面での補償も問題になると思われます。欧米各国ではウィズコロナによる人の往来が活発になっており、B787の納入遅延による機会損失の発生は経営悪化したエアラインにとって見過ごせない問題となるでしょう。
B787は多くの最新技術を投入して誕生した旅客機であり、これまでにも多くの問題に直面しました。しかしながら、一つずつ解決した結果、多くのエアラインにて運行されるほど人気を博しています。私自身もコロナ禍の前に海外に行く際にはB787を選んで乗るようにしており、また海外に容易に行けるようになった際にはB787の搭乗を楽しみにしたいと思います。