別の記事にて、2022年はB767-200がユナイテッド航空に初導入されて40周年とお伝えしましたが、1982年8月19日が記念日とAirliners.netのTwitterに記載されておりましたので、この機種を掘り下げてみます。今回のテーマは、”ボーイング767はどんな機体?”です。
今回は以下4つのポイントに絞って解説します。
- 初導入から40年が経過しつつもまだまだ現役
- 派生型から兄弟機種まで様々なモデルが存在
- 国内線から国際線まで活躍のオールラウンダー
- 後継機種はいない?
まず、”初導入から40年が経過しつつもまだまだ現役”についての説明です。先述の通り、ローンチカスタマーであるユナイテッド航空に引き渡されたのは1972年8月19日であり40年が経過しました。当時はB767-200型が就航し、現時点でもB767-300ER型を中心に多くのエアラインにて使われています。また、B767-200ER型をベースにB767-300ERの技術も一部に採用されている米国空中給油機KC-46は、今後も生産が続けられる予定であり、ここまで長い間生産がされる機種は存在しません。下記の写真はKC-46です。
続いて、”派生型から兄弟機種まで様々なモデルが存在”について説明します。ボーイング767は多くの派生型を持っています。先程ご紹介したKC-46もその一つです。
B767-200 | 全長48.5 mの標準モデル |
B767-200ER | -200の航続距離延長型 |
B767-300 | -200の胴体延長型 |
B767-300ER | -300の航続距離延長型 |
B767-400ER | -300の胴体延長型 |
B767貨物型 | -200/-300の貨物機型(-300BCF,-200F,-300Fなどの名称有) |
B767軍用機型 | -200/-300の軍用機型(KC-46,E-767,KC-767などの名称有) |
B767のシリーズでは計7つのモデルが存在します。また、B767と同時に開発が進められたB757もB767の兄弟機種として知られています。B767は客室通路が2本なのに対し、B757は1本となりB767よりも少しサイズダウンしています。また、具体的に兄弟と呼ばれる理由は、①コックピットが共通であること、②APUなどの搭載機器が共通仕様であること(サイズにより出力は異なる)、③B767とB757の共通資格認定、の3つが挙げられます。
続いて、”国内線から国際線まで活躍のオールラウンダー”であることを解説します。B767シリーズの航続距離は、6,000kmから12,00kmまで約2倍の開きがあります。東京からの距離では、6,000kmはインドデリー、12,000kmはメキシコシティとなります。(実際にフライトするとなると貨物搭載量や風向きなどを考慮し、この目的地にたどり着くことは難しいと考えられます)
私自身、B767は日本国内の地方路線や羽田ー伊丹空港の幹線、成田発着の東南アジア路線にて搭乗経験があり、多種多様な活躍を見せていることがうかがえます。これは、ER型と非ER型による航続距離の違いだけではなく、200~300名の座席数も需給バランスがちょうど良いことも重宝される理由と推測されます。
最後に、”後継機種はいない?”について解説します。2022年時点で、B767-300/-300ERは日本国内外の路線にて活躍を続けています。かつて、B787 Dreamlinerが就航した際にはB767は順次退役すると思われていました。しかし、実際のところはまだ完全退役する様子は見られません。そうなってしまった理由は以下の通りです。
- ①B787-3の開発中止
- ②NMA(New Midmarket Airplane)の白紙化
- ③新型コロナウイルスによる需要の不透明感
B787 Dreamlinerの開発計画にB787-3という機種があったことをご存じの方はいるでしょうか。こちらは短距離専用の機体で、オーダーしていたのはANAとJALの2社のみでした。結果として、B787の開発遅延やB787-3のオーダー数の伸び悩みにより、登場することはありませんでした。B787-3がB767-300の後継機種と言われていました。
B767は世界各国のエアラインにて運行されており、ボーイングのおひざ元である米国のエアラインも多く使用しています。そのため、それらのエアラインの需要に応えるため、ボーイングはNMA(New Midmarket Airplane)の開発を計画していました。しかし、2度のB737MAX墜落事故への機体改修やB777-Xの開発遅延への対応にてNMAの開発が具体化している報道はありません。
そして、新型コロナウイルスも経営悪化したエアラインに新機種の発注を思いとどまらせています。中型~大型機を新たに発注するよりも既存機種の活用や小型機による多頻度運航でこの危機を乗り越えようとしています。
B767の活躍はまだまだ続きそうですね。